余命いくばくもない母に会わせてあげたい

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(メガネ ツユクサ

 

 9月の夏日、主夫もどきを時々していたが、

これから秋を感じる気温になるらしい。

しばらく写真を撮っていないので、

8月上旬頃の野生の植物写真とともに、

ある出来事の話。

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イヌノフグリ

 

 前々回のブログの葬儀のこと。

礼服を取りに戻ったが、収納場所がわからず。

電話の指示で動き回り、ようやく準備が整う。

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(ナナカマドも色付いてきた)

 

 出発間近に、見知らぬ女性が訪ねてきた。

尋ねる当ても無くなり、切羽詰まった様子で、

○○さんの息子Aさんの連絡先を教えてほしいと。

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 プライベートなことをおいそれと教えてもらえないと感じ取ったのか、説明が始まった。

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 Aさんの実の母親が余命いくばくもないので会わせてやりたいとのこと。

己の氏名・住所・関係性などの説明を聞くと、

私が知る人の娘さんであり、信頼できると判断した。

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 Aさんが子供の頃、両親が離婚したのだが、

母親の意に反して、Aさんは父親とその親(祖父母)に育てられ、母との交流は途絶えた。

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 母親の身内としての心情はわかるが、

Aの母に対する想いはわからない。

それで、連絡先を教えず、私が連絡することにした。

 

ところが控えていたはずの連絡先が見つからず。

祖父母は他界し、父親は精神科に長期入院中。

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(スモモ)

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 たどって、たどって・・・・

Aの連絡先を知る身内に電話をしたが通じない。

固定電話にフアックスをし、携帯にメールをするが返答無し。

 

 葬儀の合間を見て妻に状況を説明すると、妻がAの連絡先を控えていた。

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 すぐにAに連絡すると、通勤電車を降りたところだった。

状況を説明し、尋ねてきた女性の電話を知らせた。

突然の知らせに動揺していることが分かった。

家に戻ってから落ち着いて、どの様に対応するかを自分の意志で判断すること。

離れていてもお母さんはお母さんなんだことなどを話、

相談にはいつでも乗るからと言って電話を切った。

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 訪ねてきた女性にも連絡し、Aからの電話を待つように伝えた。

その後まもなく通じなかった身内からも連絡が入り、

状況説明とAと連絡できたことを説明した。

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ヤブカンゾウ

 

 翌朝、訪ねてきた女性からの電話で、Aから連絡があり前向きに進むことになったと感謝の言葉を頂いた。

その後、身内からも電話があり、Aが母親に会うことになったと伝えた。

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ノウゼンカズラ

 他人様にそこまでしていただき、ありがとうございましたと何度も何度もお礼の言葉を頂いたが、

電話の向こうで、涙を浮かべ頭を下げる姿が見えた。

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 離婚から、祖父母の意志で強引に子供を引き離すことになったことを、これまでの長い期間、身内はふびんに思っていたのだろう。

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 私の身内の葬儀のさなかにあって、

悲しくも小さな明かりが見えた出来事だった。

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