白鳥 最終 飛ぶ

 大きな鳥たちは、浮き上がるまでは走り続ける。

飛行機と同じで、大きいほど滑走距離は必要で、

向かい風を受けて飛び立つ。

 (青空だと、泥水の川も青く綺麗に見える)

 飛び上がれば優雅。

 羽の汚れは、餌を得るための苦労の証。

 またまた幼少期の話。

その頃はまだ終戦後の不安定な社会情勢が続いていて、

泊り客も何かと問題を抱えていた人もいた。

特に女性客は、追ってきた男にたたかれたり、自殺(自殺未遂)する人もいて、それを子供ながら見てきた。

 ある日、私と同じぐらいの幼女を連れて泊った女性も、男から逃げてきたそうで、母は可哀そうに思い、

飲み屋だった隣の家を無料で貸し、その母子を住まわせ飲み屋をさせた。

商売も軌道に乗り、生活も落ち着き母子仲良く暮らせるようになって、

私にも親切にしてくれた。

 一方、いつもの通り私は兄たちにからかわれ、命令され自由にならないことに不満があり、のがれる方法を子供なりに考えていた。

それで、おもちゃなどの宝物を袋に入れ、

自由にしてくれるだろう隣のその家に家出した。

 邪魔する者も無く、思うままに自由に楽しく過ごして、

気持ちよく寝たのだが・・・

 

 朝起きたら自分の部屋に戻されていた。

たった1日だけの家出だったが、

家出の決断と親切にされた1日は記憶に残っている。

 真下から見るとデブッチョ。

 長い間白鳥のお付合いありがとうございます。

次回はその頃に写したヒシクイ等で、渡り鳥完結。