(書をフスマに張り付けた奥座敷)
Aさんは私より年上で、お嬢様学校で美術を専攻していたそうだが、陶芸に没頭する夫の助手をしながら、日常の全てをこなしていた。
(ボケの花)
夫亡き後、助手の仕事がなくなったものの、
最近は年老いて、小柄な体での広い土地・広い家屋の管理は重労働。
(裏庭の冬の様子)
10年ほど前に軽い脳梗塞になり、後遺症は無かった。
本人はその点注意しているのだが、スイッチが入ると夢中で仕事を続けてしまう。
(オオタカネバラ)
Aさんにはいろいろ教わり、お世話になっていたのに、
ちょっと手伝っただけでお礼を言われ、さらに後日必ずお礼の手紙が届く。
包装紙などお気に入りの紙で作った封筒で。
酔芙蓉(すいふよう)
(9時30分撮影~左奥の赤いのは昨日咲いた花)
小説や歌にある『風の盆恋歌』、これに出てくる1日限りの花、酔芙蓉。
北海道の露地栽培での開花は珍しい。
朝の純白な花は、昼にピンク色となり、夕方に赤色に染まり夜にはしおれる。
(13時撮影)
酒を飲むほどに赤くなる顔と、一夜の恋に例えられている。
酔芙蓉の苗を取り寄せて植え続けていたが、
H21年ようやく花が咲いて喜んでいた。
(15時30分撮影)
その後、Aさんは二度と挑戦はしなかった。
(トビ - ピッヒョロ ~中央の細い縦線は 与えた魚の汁)
高い木の上の巣から落ちたトビのヒナを、ザルに入れてその下の枝に乗せたが、
親が近づかないので、Aさんがエサを与え育てた。
(おうばゆりの種)
ヒナも飛べるようになると、他のヒナたちと飛び立っていった。
その後数年、代替わりしながら来ては与えるエサを食べていた。
そのことを、孫たちに残したいと絵本を作った。
(表紙と、終わりの言葉)