生前贈与が非課税になること。

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(芙蓉‐ふよう)

 

 7月頃までの農作物は、日照不足と雨不足で不作であったようだが、
最近ようやく、あちこちから産物が届くようになった。


 8月以降の各農作物は豊作が期待できるようで、息子に農業経営権を譲っている、隠居の身の彼は喜んでいた。

 

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(カボチャの種類も多くなって、小型が求められるよう)

 

 彼が経営者であれば、異常気象にあって収穫が終わるまではわからないとの心境もあるだろうし、税申告を意識してその喜びを表情には出さなかっただろう。


 その時々の喜びを素直に表現できるのも隠居の良さなのだろうか。

 

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(白色のナスビ)

 

 隠居の身である彼も、農繁期には一生懸命働く。


 農用機械を運転操作しながら指示を出すのは経営者と暗黙のルールがある。


 機械が回り切れない狭い場所などの手作業や、機械のテコとなり動き回るのが女性や隠居の仕事。


「農用機械の運転は、年寄りや女性にさせるべきだ」といまさら言っても相手にされない。

 

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アサガオ

 

 『隠居』 終戦後の戸籍法改正までは、経営者が子に経営権を譲るとき、隠居の届け出をし、戸籍にその旨記載された。


 また、士農工商・・・などの表示もされていたが、戸籍を取り寄せるとその表示部分を塗りつぶし発行されていた。


 今は戸籍のコンピューター化により、これらは全て抹消されている。

 

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アオサギ~私を見て、すぐに飛び立った)


 『農地の生前一括贈与』に関する法があるが、ある意味においては、隠居の届けでのようなもの。


 農地の生前一括贈与の基本は農地の全てを贈与する条件。
 農業経営者の若返りや、機械を導入し規模の拡大、資金(融資)利用条件の確保などが趣旨。

 

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(トビ~この後急降下して、しばらくしても藪の中から飛び立たなかった)

 

 国民健康保険法が、続いて国民年金法が制定され、福祉的制度が確立しつつあった昭和30年代。


 その最後の昭和39年に出来た農業者用の生前一括贈与を、北海道では対象となる多くの農業者が、喜んで手続きをした。

 

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ヒヨドリと思うが)

 

 それから色々状況が変わって平成になると、

生前一括贈与をして失敗したと言う者が増えた。


 この法は贈与税の免除ではなく猶予(ゆうよ=保留状態)
農業を続けて、親が死んだとき贈与税の免除が確定する。


 親が死ぬ前に贈与された者が離農(農業を止める)すると、
本来かかるべきであった贈与税と、それまでの期間の利子税を加算して払わなければならない。

 

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(以下、ハシブトガラかコガラかわからない)

 

 その頃は、70歳代で長生きしたと言われ、80歳で亡くなればお祝いものだった。


 贈与を受けた者が70歳を超え、後継者も無く疲れ切って、贈与した親は頑張れよと、自由に暮らしている。


 農業を止めることも、縮小することもできず。


 親の長生きが嬉しいような、悲しいような。

 

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 道路や排水のための土地を提供(売る)しても、その部分の収入以上の贈与税と利息を払わなければならない。


 今は公共用地の売買は特例扱いになっており、法も色々是正されてきているのだが、

生前一括贈与の手続きをする者はまれとなった。

 

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 現在、一般人を対象に生活費・学資資金・住宅取得資金など一部に関わる生前贈与が非課税になる制度がある。

 

 私はこれを詳しく調べたことは無いが、いろいろな条件が付いているようだ。


 せっかくの制度、良く調べ、考えてから有意義に活用されることを願いたい。

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