前に投稿したかもしれない主旨の内容ですが、「無から有を造る」を具体例で表現することとします。
私が係長の時、助役(副町長)から呼び出された。
大手運送業が、2か所の配送センターを廃止し、わが町に移転する計画があるので、その場所を探せとのこと。
幹線道路に面し、大型倉庫があり、トラック数台の駐車場が条件の土地。
私は「探さなくともそんな物件は無いし、私の担当外だ」と答えた。
助役は「そんなことわかっている」
助役は、その条件を聞く前に「全てをお任せください」と言ってしまったので、身動きできなくなっていたようだ。
謝るのが嫌いな助役、うまくお断りすれとの趣旨である。
何度もしりぬぐいをさせられてきた私にとって、この程度の処理は簡単なこと、取りあえず誘致の方向を考えた。
その会社は、2か所の配送センターの廃止は決定事項であり、自社で不動産を持つことはあり得ないとのこと。
すなわち、会社も町も困っている状況。
互いに困っていれば、妥協枠が広がるし時間的余裕もあるので、間に立つ私はやりやすいし、ましてや誘致ができれば町にとっても良い。
これからが、「無から有を造ること」の話。
会社が求める条件の土地の目星がついて、友を集めた。
賭け事・酒・・・だが、信頼でき行動力はある。
配送センター建設に土建業と設計士。
登記関係とまとめ役に人望ある司法書士(賭け事・酒・・は無い)
求めようとする土地所有者と関係がある飲食店経営者は開業してからの固定客になるであろう。
これら4人を集め、月々5万円程度の出資をすることに賛同させ、土建業・司法書士・設計士は、ほぼ原価で配送センターを建設することにした。
物流環境の多少の変化に負けない、理想的配送センターの建設の始まり。
当時の株式は5人必要だったが、私は公務員、誤解を招かないように、私の取り巻きで一番の遊び人(共働きで無駄遣いの者)を加え、5人で不動産会社を設立。
利率の低い「中小企業融資」は、実績が無いので利用できないところを、「町の発展のために、町が特に認める・・・・」と文書を作り、助役に公印を押させて特別枠を得る。
設計段階から運送会社の条件をすべて聞き入れた。
借金が返済されるまでは借りてもらいたいので、運送会社が求めるよりも長期の賃貸契約期間になった。
月々出資していたその間、彼らの無駄遣いはあまり変わっていなかった。
出資した金はすでに回収されており、配送センターは今も続いている。
自宅がほしくなったら買う・建てる・・・必要なものが無かったら作る・買う。
この「無から有を造ること」は家庭生活では当たり前の事なのだが。