解体している家の思い

実家の解体工事が間もなく終わる。

雪解けが早く予定より1か月ほど早い工事。

備品などを事前に処理していたが、述べ10日ほどの工事。

相場からして300万円を見込んでいたが、友人の顔ききで半額になった。

築50年以上の建物だが、外・内装それぞれ張替え、修理をしていたので、

業者が驚くほどまともな状態だった。

 

小学5年生の今頃大火で我が家を含め8件が延焼した。

玄関の窓ガラスがバリバリと燃える音で私は起きた。

後で聞いた話だが、「(消防)団長今どの様な状況ですか」との問いに、

団長(私の父)は「今頃は私の家が燃えているころだ」と答えたとのこと。

それが消防団の美談として言われ続いているが、そのとき私は父を恨んだ。

その後は自分もその立場になったらそうするだろうと理解した。

 

「火事場のばか力」よりも、普段の教え、心境が出る。

バリバリと燃える音を聞きながら、

タンスの服を選り分け良い服だけを持ち出した。

本も教科書だけを選んで持ち出した。(2日後終業式で教科書はもう必要ない)

靴を廊下に落として、土のよごれを手ではらった。

その後従業員が駆け付け、タンスごと運んだ。

結局私がしたことは無駄なことだった。

鎮火しつつあるとき、朝日が出るまで火を灯し続けてほしいと願った。

燃え落ちる我が家に涙していたが、暗闇の寒い外にいることが恐ろしかったから。

 

そして今解体している旅館が建築された。

火事から何カ月続いたのか、毎晩寝ながら考えた。

あの時どうすれば良かったか・・・あれはどうだったか・・・

今火事や地震があったら・・・

と最悪の状態を想定して対処を考える癖ができた。

その後、交通事故・爆発事故・火事・ヤクザとのもめごと・自殺行為・・・

人からはうそでしょと言われるほどの経験をし、すべて対応出来てきた。

基本は当事者の心境分析と合理性の判断を冷静に即出来るかにかかっていると思う。

形だけの避難訓練は役に立たないと思う。

たとえば、「非常口」を非常口にせず、通常利用するようにすれば、

利用する癖が出来るし、いざという時に「開かなかった」なんてことは起こらない。

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