子供の頃の12月には、あちこちの家から餅をつく音が聞こえてきた。
その都度「美味しくないですが・・・」「僅かで申し訳ありませんが・・・」との決まり言葉で餅を近所に届け、届けられる。
親が忙しい時間帯なので、私が受取り1個だけをコッソリ食べるのだが、いつも母にそれがばれた。
数年たってから母が教えてくれた。
縁起物はすべて奇数だと・・・我慢せずに2個食べればよかったのか。
刺身や漬物は3切れはだめ(身を切る)。土木工夫にタコを出してはダメ(タコ部屋~共食い)。ご飯は左手前でメィーンなおかずは右上。箸の使い方は・・・と教わったが今はほとんど覚えていない。
その餅つきも、私が青年の頃には家庭用餅つき機に代わり、今では袋詰めの餅を買っている。
福祉施設や関係団体だけが餅つき大会として文化継承をしてる。
先日、知的障害者施設の地域交流餅つき会に招待され、皆さんの明るい姿を見ることができた。
北海道でも石臼を使うようになりつつある。
ちょうどその前後して、餅つきの是非をマスメディアが取り上げていた。
ノロウイルスやO157感染対策を考えて、保健所に餅つきをしていいかを伺った結果、恒例の餅つきを中止したことが報道されていた。
保健所の立場で、問題ありませんとは間違っても言えない。
保健所に問うことは、中止する口実を作ろうとした人か、よっぽど無知な者だろう。
ある敬老の日にお汁粉を出したら、「喉を詰まらせたら誰が責任を負う」と言われ、主催者の一人が「お祝いの餅で死んだら本望だろう」「お前は家でじいさんに何を食べさせているのだ」と答えた。
私には到底できない会話であるが、心の中で拍手した。
むろん、高齢者施設や保育所などで餅を出すときは、体制を整えていつも以上に注意を払っている。
喉を詰まらせたときは、先ず手が止まり、そして全身を丸め、声を出せなくなる。
喉を詰まらせるとは、物が詰まって膨らんだ食道が、接触している気管を圧迫する状況を言う。
飲み物などが気管に直接触れた時はせき込むから分かるが、食道に詰まるときは、息が出来なくなるまで異変がないから発見は困難だ。
吸引器で、スプーン1・2杯ほど取れば、残りは自然に流れていくのだが、知識や経験がない一般家庭では慌てふためき対処は出来ないだろう。
シメ・・・かな?